純日本風喫茶・SAKURAの紹介


川井宣教師のSAKURA日記
--- 初期の苦悩から現在まで ---

■ルーマニア・クルージュでは、2010年9月1日に純日本風福音喫茶「SAKURA」を開店させ、 毎日少しずつ新しい宣教センターの働きが前進しています。多くの人々が行き交うところなので、 喫茶店は大繁盛するだろうと思いきや、惨憺たる現実でした。しかしそんな中でもう一度祈りに導かれ、 苦闘しながらも本気で取り組む覚悟を決めて立ち上がりました。周りのみんなを祝福していくセンターにする為、 この喫茶店を失敗させる事は出来ない。主に寄頼んで乗り切ろうと決意しました。 苦闘を通して主が私に大切なことを教えてくださっていると感じます。

■先日突然3人のルーマニア系アメリカ人の友人が来て下さった。 そして新しい宣教センターと喫茶店を見ていただきました。 大変感動されて涙を流しながら祝福の祈りをしてくださった。 そのとき、主の御声を聞きました。 「ルーマニアの民と教会を私の世界宣教の働きの為に整えなさい」 という不思議な声でした。この宣教センターにも毎日日本に感心をもち、 日本語を話す学生たちがたくさん集まってくる。 もしかしたら我が祖国日本にルーマニアの若い宣教師たちが行くことになるのかも知れないと 大きな希望が与えられました。

■すべてのことをつぶやかず進んでいかなければならないと自分に言い聞かせ、 たくさんの難問も主にお任せする信仰を学びました。 こちらでは9月中旬を過ぎて寒くなり始めましたが、 なんと暖房を大家さんが全額負担してくださることになりました。 センターが暖かくなり、気持ちまで暖かくなり、徐々にお客さんも増えて来ました。 1日の売上が100レイ(3000円)を越えたらお祝いをしようとスタッフたちと約束していましたが、 先日24日の売上が初めて100レイを越え、みなと喜びを分かち合いました。

■福音喫茶は始めて2週間は絶望的な様相だった。その後、少しずつお客さんが入り始めました。 主の憐れみの中に置かれていることを改めて体験いたしました。

■喫茶店開店から1ヶ月が過ぎて、たった一つだけ証しできることは、 どんなにお客さんが少なくても、売上がなくても、店を始める前にみんなで祈り、 店を閉める前にまたみんなで祈ってきたことです。 それはこれからも続けていきたいと願っていますが、 結局証しできることは、こんな小さな事しかないのだと思った時に、 また目頭が熱くなってきました。主からの祝福に感謝し、主に守られ、 少しずつ進んでいく姿を主に見ていただけることこそ証だと心底理解できました。 「あなたがたの会った試練はみな人の知らないものではありません。神は真実な方ですから、 あなたがたを、耐えられないほどの試練に会わせることはなさいません。 むしろ、耐えられるように、試練とともに脱出の道も備えてくださいます。」(Ⅰコリント10:13)

■2012年2月
こちらルーマニアでも夜半零下25度まで下がる日もあり、 道路などは雪と氷で覆われてしまいました。  私達のセンターは水道管が凍り、喫茶店の営業にも支障が出たりしました。 大家さんが地下室で焚き火をして、凍った水道管を溶かして何とかなりましたが、 焦げ臭い匂いが店に残り、結構大変なハプニングでした。  昨年も暖房が無く非常に寒い思いをしましたが、 今年は水道管で苦労する羽目になりましたけれどただこの建物は築140年と言う大変古い家で、 防寒があまりしっかりしておらず、窓も隙間だらけで暖房効率もあまり良くありません。  来年には新しい場所でと祈りつつも、現状に対応するだけで手一杯の毎日が続いています。  そんな寒波の中も、寒い外から何人も新しいお客さんも入って来て、 お店の方も段々と皆さんに知られて来ました。 外が寒い冬だからこそ、 あまりなじみの無い日本のお茶で暖かいほっとした雰囲気を味わって頂きたいと願いつつ、 毎日祈りを持ってお店を開けています。  まだまだ色々な意味での挑戦は沢山ありますが、主にあって歩ませて頂いています。

■SAKURAのバレンタインデー装飾。

■先日大変ショックな出来事が私達の町をクルージュに起こりました。  タルニツァという近郊の湖で、数日間行方不明だったお父さんと子供2人の遺体が、 凍りついた湖面の厚い氷の下から見つかりました。  車に残されていたお父さんの遺書から、自殺であると判り、 2歳の娘さんと11歳の息子さんはお父さんの道連れになったようです。 失業して住宅ローンを数ヶ月払う事が出来ずに苦しんだ挙句の行動だと報道されていました。  彼の奥さんであり、2歳の女の子のお母さんだったコルネリアさんは一人残されて、 夫と子供の失踪からずっと緊張した毎日を送っていたそうです。  この事件が起こる2週間ほど前に、実は私達の折り紙のイベントに参加していた、 楽しそうな家族連れを覚えていたのですが、 夫と子供が失踪して捜索願いを出している彼女の記事をインターネットで見つけ、 始めて気が付きました。 亡くなった2歳の女の子はアレクサンドラちゃんと言い、 お店ののれんが大層気に入って、何度も何度も行ったり来たりして私達に大きな笑顔を振りまいていました。  お母さんも折り紙の楽しさ、お店の暖かい雰囲気に大変満足そうで、 次回の行事に是非又来たいと言っておられたようです。  家庭にそんな大きな問題を抱えていると知る由もなく、 みんなで楽しい時を過ごせた事に感謝していましたが、 このような展開と結末になって本当に驚き、お母さんの心の慰めを心からお祈りしています。  この事件を通して、個人的に考えさせられた事は、人の運命や全ての出来事は、 全て主の御手の内にあると言う事。  そして、御旨に従がって、私達も小さな関わりの中で意味ある何かをさせられているのだと言う事を痛感させられて、 涙が出ました。アレクサンドラちゃんにとって、本当に短い人生の大切な1日を私達の福音喫茶の折り紙クラブに来て、 上機嫌で喜びに溢れて過ごせた事は、大きな意味を持つのではないかと思わされ、 毎日地道にでもお店を開け、イベントを続けている大切さを心からかみ締めました。 

■2012年3月
3月27,28日と2日間ブタペストまで、商品(お茶)の仕入れに出かけました。 途中国境近くのオラーディアにも寄って、ルーマニアでお茶を仕入れている会社とコンタクトを取らせて頂きました。  正直今までその様な余裕も無く、あまり仕入れについて手を入れていなかったのですが、 日本から輸入して行くのに手間が掛かったり、規制のハードルもあって、 こちらの仕入先の可能性を探る事は必須事項になっていました。  最初に寄ったオラーディアの問屋さんは、 お茶のみならずコーヒーやシロップなど飲食店の必要品を多く扱っている様で、 大変参考になりました。  社長さんはご夫婦2人でやっているそうで、奥さんの方がお茶担当と言う事で、 色々と有益なお話を聴かせて頂きました。 ブタペストでは、丸元という日本からお茶を直輸入しているお店が昨年の夏オープンして、 昨年秋に立ち寄って以来、定期的にお茶を購入できればと考えていました。  今回オーナーの日本人の方とゆっくりじっくりお話が出来て、大変有意義な時間を過ごしました。  毎月のようにブタペストまで商品を買いに来ると言う事は、 以前から不定期で持って来たブタペストの邦人集会をもっと頻繁にしたいと祈っている想いが実現する事になります。 

■2012年4月
4月の第一週は大変忙しい週になりました。 クルージュの教育委員会が毎年春先に小学校の郊外学習をするのですが、 学校の外に出て、先生や友達と社会体験をしようという趣旨で、 美術館や博物館などを訪ね、理解を深めて行くそうです。  喫茶店などは喫煙の場所も多く大抵敬遠されると聞きましたが、 私達の喫茶店は禁煙でアルコールも出さないと言うポリシーが理解されて、 子供達の日本文化に対する興味もあり特例で紹介して頂きました。 お茶とケーキ、その後で切り紙のクラスを持って、 みんなで楽しい時間を過ごす事が出来て、本当にみんな楽しそうでした。  日本のお茶が苦くて飲めないと、駄々をこねる子供が出ないかなあと少々心配もしたのですが、 幸いほとんどの子供達が喜んでちゃんとお茶もケーキも味わってくれた事は大きな感謝でした。 毎日2クラスの子供達、全部で8クラスの訪問を受けて、 働き手3人のお店は大変な忙しさに一時てんてこ舞いしました。

■2012年8月 ざわめき同刻賛美
ウィーンから帰って、8月15日は仕事始めで、喫茶店の営業を再開しました。 この日は特別に日本の賛美企画“ざわめき同刻賛美と祈祷会“と銘打って、 賛美集会をしました。 10人ぐらいの若者が集り日本語の賛美を歌いました。 多くの若者たちが新しい主への賛美を求めてうずうずしています。  そういう訳で、初めての試みであった日本との同刻祈祷は大変祝福されました。  次回はみんなで集まって、曲をルーマニア語に訳して力一杯歌いたいと強い願いが起こされているので、 近いうちに賛美翻訳の会をしたいと思っています。 

J-Fashionイベントに参加した女の子たち

■2012年9月
喫茶“さくら”2周年記念宣教センターを現在の場所に移転して、早い物でもう2年半が過ぎました。 色々と苦闘の連続であっという間でしたが振り返って見ると主が守って下さり、 何とかここまでやってこれたという恵みに心が一杯です。  教会では集会の時にしか友人を招待できないと言う難点を解消し、 多くの人に福音と日本文化に触れて頂こうと始めたこの喫茶店も、 最初の目的通り多くの学生たちがゆっくりくつろぐことの出来る開かれたスペースとして大変用いられています。 1日8時間店を開ける事は案外大変だと実感しつつ、売り上げも一人分の給料を出すのがやっと、 ほとんど自分の生活費を削ってカバーして行く現状が続いています。  商売をやっている人にとって見れば当たり前の事も、 教会・宣教関係での奉仕しかして来なかった自分にとって、 大変大きな学びになりました。 軽々しくビジネスで、などと言える立場ではないという事も痛いほど実感。  感謝しつつ、2周年のお祝いをささやかに持たせて頂きました。 これからどの様になって行くかは自分でもまだ判りませんが、主がお入り用なら継続して行きたいと願いつつ、 多くの人たちに愛されて、用いられ続けたいと願っています。 

■2013年1月
喫茶店の活動ルーマニアの次世代を担う若者たちを探して伝道するのに、 文化活動はそれなりに的を得た働きだと言えます。  そういう訳で、喫茶店で毎週数回、日本文化のイベントを企画し、 若い人達に来てくれる様に呼びかけています。  折り紙や将棋、漫画の描き方など色々な活動をしていますが、 日本文化を愛する多くのクルージュの方々に大変好評を博しています。  今回は、日本昔話の朗読をしました。勿論読む物語をルーマニア語に訳し、 場面ごとにイラストを付け、誰でも良く判るようにしました。  私が子供の頃、アニメで日本むかし話を放映していたのを覚えていますが、 今回もそれに近い感覚で、ルーマニアの学生たちに着物で朗読してもらいました。 沢山の方が参加して下さり日本の昔話とルーマニア民話などを比べながら、 少しディスカッションの時も持たせて頂きました。 

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喫茶店SAKURAの営業は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、 政府規制によりしばらく休止していましたが、政府の規制も緩和され、2022年4月より、 短時間営業で再開いたしました。 2022年6月より、本来の運営を開始できるよう、日本から商品を仕入れているところです。 この喫茶店SAKURAが、街の人たちの憩いの場となり、福音伝道の場となって、主に用いられますよう、 皆様のお祈りをこれからもどうぞよろしくお願いいたします。

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