宣教センターの紹介


川井宣教師の宣教センター日記
--- 開設から現在まで ---

■宣教センターの開設
 ルーマニアでは90年代に教会でリバイバルが起こって、 信徒数を劇的に増やしていった時期があるのですが、 その爆発的成長も10年そこそこで止み、2000年を過ぎる頃には成長も減り、 停滞するようになって来ました。
 こちらで私の所属している教会の会堂建設に取り組み、 美しく大きな会堂を建て、 礼拝のプログラムなども充実してきたのですが、 教会以外の場所で伝道する必要性を少しずつ感じて、 祈りの内に強く導かれ2009年春からクルージュナポカの町の真ん中に場所を借りて 宣教センターを開設し、学生伝道を始めました。
 学生たちに聖書だけを押し付けていくよりも、まずは学生たちの好きな文化を通して 彼らと親しくなり、相談に乗ったり、助けたりすることを通して、 主の愛を伝えていくことが大切だと信じています。 こうして成長した若者たちが、信仰の道から離れず、主に触れられて、 宣教の情熱が与えられていくことを願っています。 さらに、街のクリスチャンたちが、 超教派で利用できるセンターの必要性から このクルージュナポカの町の中心に宣教センターを開設できたことを心から主に感謝します。

■日本友の会の拡充
 日本友の会は1997年からクルージュで始められてきました。 子供たちに折り紙や日本語合唱団、 学生たちのための月2回の「ジャパンナイト」など、 多くの活動を始めるようになりましたが、 宣教センターとして場所を借りてからは、 さらに活動が充実するようになりました。 お茶や、着物の文化、折り紙教室など、 さまざまな日本文化を紹介するイベントをこの宣教センターで行っています。

■喫茶店伝道の必要性
 町の中心部に場所を借りて1年ほど経ち、 ここにきて本格的に喫茶店伝道に取り組むため、 もっと広い場所に宣教センターを移転することになりました。
 2010年、年が明けて移転ということになり、3月から4月にかけて、 引っ越しをしました。 しかしながら、喫茶店を始めるにあたり、大改装が必要でした。 工事はすぐに始めることができず、細々と喫茶店伝道を始めることになりました。

■改装工事
 現在借りている私達のセンターに一度でも来て下さった方なら、 気が付いたかも知れませんが、街の中心に近い場所で良い所なのですけれど、 何分築160年の大変古い建物で、雨漏りしたり、 壁にヒビが入っていたりと結構見掛けも老朽化して来て、 大変見苦しくなっていました。
 大家さんに言っても、 そのうちに手を付けると言われて、もう大分経っていたのですけれど、 2010年5月、市役所の視察がやって来て、街の中心部にある建物の美観を守るために、 地権者に補修を要請する文章を受け取った様ですぐに工事を始めました。
 聞いていなかったことは、補修工事にあたってお店の前に足場を組んで、 お店をほぼ隠してしまう形で作業が進められる事。写真でご覧のように、 すっぽりと覆われてしまって、お店の広告さえ遮られ見方によっては改修工事中の為、 店を閉じているかのような感じも受けます。
 学生の伝道は毎晩何がしかの集会もあり、 色々な意味で祝されているようですが、支えて行く働きは結構大変な所でもあります。 どうか続けて祈りに覚えて下さると幸いです。 早く新しい建物が与えられる事を日々祈りに覚えています。 

■2010年8月に改装工事が完成し、 新しい場所で宣教センターをスタートさせることができました。

■2010年、秋ごろから本格的に喫茶店をオープンさせることができました。

■2010年末、年越しの日記
 今年は、年始から新しい宣教センターへの引っ越し、喫茶店伝道の開始、 改修工事、宣教センターと喫茶店伝道の本格始動などもあり、 年末までずっと慌しく、本当にあっという間に過ぎて行った感じでした。
 大晦日は宣教センターで持ち寄りの年越しパーティーを企画して、 クルージュで年越しをする若者達と食事をしたり映画を見たりして、 年末の楽しいひと時を共に過ごしました。
 普段ならもっと掃除やら決算やらしなければならないのでしょうが、 今回は本当にあまり動かない年末だったと思います。

■2011年始の日記
 新年の花火も盛大に上げられていましたけれど、 例年に比べておとなしい感じさえ受けました。
 新年は友人の牧師の家に家内も共に食事に呼ばれて、 働きについて話をしたり、良い交わりを戴きました。
 元日は宣教センターで日本語の礼拝をしました。 与えられた御言葉はヘブル13:5の「私は決してあなたを離れず、 あなたを捨てない」と言う箇所でした。 この不況で振るわない時代、世の中や自分を取り巻く環境が厳しくなっても、 神様の約束と御臨在は変わる事がありません。 新しい年への期待が何かあるとすれば、それはキリストにあって神と共に歩むなら、 まだまだつかむべき祝福は沢山あると確信させて戴いた事でしょう。 主が今年も素晴らしい事を私達の人生に、 そして働きの上に成して下さいます様に心から期待して、 信仰を持って歩みだす事にしましょうとお薦め致しました。

■2011年5月の日記
 早い物でもう今年も折り返し点に近づいて来ました。 第一に多くの恵みを受けた事を心から主に感謝しました。 最初はガラガラだった建物も、昨年夏の終わり頃から徐々に学生たちが集められ、 今は月曜、木曜と日曜日の夜は定例集会で沢山の学生たちが集まり、 特に今年に入ってから特別集会が多く持たれ、毎晩のように会場に溢れる若者達が集められました。 ある集会では、詰めて百人弱、身動きの取れない程一杯で帰って頂いた人も出たほどでした。  自分では大したことはしていないのに、主が若い人たちを備えて、 素晴らしい働きを始めて下さっています。
 最近は学生のためのグループディスカッションの時間という事で、 毎週木曜日夕方に伝道集会の様な働きをしていますが、 毎回沢山の学生達で集会場が一杯になり心から感謝しています。

■2011年11,12月、新しい目標に向けて
 ここ半年ぐらいの間、結構色々な事で疲れ果てていた自分の心にも、 主が一筋の光を与えるように、何かが見えて来ました。
 状況が良くなっているとか言う訳ではありませんが、 震災以降色々な意味で疲れていたり、そのうえに教会の厳しい現状に対する失望や、 自分の無力さの故に、大変落ち込んでいた心に主が触れて下さいました。 自分だけでは抜け出せない危機は大きく、 主にあってのみ再び立ち上がることが出来るのだともう一度実感しました。
 先週のある日、不動産の斡旋をしているハンガリー人の友人から電話が入り、 また良い物件があるから見に行こうと誘われました。 2ヶ月ぐらい前から彼と一緒にクルージュの街の中心部に、 センター移転の為に色々な物件を見てきました。 30件ほど見て歩いたでしょうか。経済的な必要もさることながら、 古い家を取り壊して、又は改築してセンターにする事は、 かなりの労力と書類などの心労が掛かると覚悟しなければならないと思って、 気が重かった時に、始めて手の掛からない物件に出会いました。 元レストランとして使っていた街の中心にある3階建ての建物で、 築5年という素晴らしい物件でした。
 ちなみに改装して使っている現在のセンターの建物は築140年、 下水の問題や雨漏りの問題など結構多くの問題を抱えています。 いつかここを出て、恒久的に活動を続けられる建物を購入したいと考えてはいましたが、 折りしもユーロ危機が欧州を襲い、景気の低迷も凄まじい嵐のごとく吹き荒む中、 奇跡のような話ではありますが、クルージュの不動産の値段は4分の1以下に落ちています。 その建物も銀行からの融資が焦げ付いて、 信じられない安値で売らなければならないと言う事でありました。
 主が何か私の内に働きかけ、今新しい目標に向け立ち上がる様に語りかけているのを感じます。

■2012年始、初釜をしました
 センターも喫茶店も1月3日から営業を始めました。 今年は昨年に比べてあまり寒くなく、雪も少なかったのですが、 年を越してからめっきり冷え込んで、雪も何度か降りました。 本格的な冬景色になったクルージュの街も美しいです。
 1月6日は今年の初行事として、初釜をさせて頂きました。 昨年の秋に京都からのチームが持って来て下さった釜を 使って、本格的なお茶を立てる事が出来ました。 道具が揃うとこれほどまで違う物かと驚かされるくらい、 雰囲気も味も今までで最高の出来栄えでした。 自分も茶道の心得を正式に習った訳ではありませんが、 みんなで着物を着て、特別に掛け軸をかけ、心からおもてなしをしている時に、 今まで以上に心が落ち着き、平安な気持ちで皆さんにお茶を立てて味わって頂く事が出来ました。 まだ見様見真似の領域から出ていないと思いつつも、 着物(ゆかた)を貸し出してみんなに着てもらい、 それぞれお互いに日本の雰囲気を味わい感謝を語りつつ時を過ごすという行事になりました。
 お茶会と言うにはまだどうかと思って、 勝手に「ティーパーティー」の名称でやっていますが、 お互いを尊び合い準備された美しい物を鑑賞したり、 話し合ったりする心はお茶会に通じる物があると思わされて、 それなりに形になっていると納得出来て感謝です。 多くの参加者があり、みんなとても喜んで下さり本当に感謝でした。 

初釜を立てて、皆さんにおもてなし

■2012年3月、恒久的な宣教センターの幻を掲げて
 ここの所沢山の伝道集会を、特に3月に入ってから、 キャンパスクルセードの若者たちと色々な機会を捉えて、 活発に宣教活動を展開しています。主はそんな私達の心を御存じなのでしょう。 毎回の集会で集会場に溢れるばかりの人々を送って下さった。 私達の今の集会場では詰めて座っても60人が限度。 そんな中で今月は3回も満員以上の限界がありました。 英会話伝道の初日、述べ90人近くが押し寄せて、 喫茶店のスペースも使う事になった。本当に嬉しい祝福です。
 そろそろ天幕を広げる時期だと示されて、 新しい場所を街の中心部に購入する祈りを始めています。 幾つかの物件を見てまわりましたが、 以前よりも不動産価格が下がって今は底値に近いそうです。 ルーマニアで2番目に地価の高いクルージュでも、 市の中心部に7千万程度でビルが買えます。 戦後日本に宣教師が来て、教会以外にも学校や病院、 クリスチャンセンターと呼ばれる建物を購入して、 日本の福音宣教の為に大きな助けとなりました。 同じ宣教師として、是非この地に恒久的な宣教センターを残したいと言う幻が与えられ、 心燃やされています。どうぞお祈り下さい。

■2012年8-9月、新しい建物、新しい幻
 昨年の末ごろから少しずつ次の宣教&日本文化センターの物件を探していたのですけれど、 4月の中頃に見せて戴いた物件で、大変心ひかれた物がありましたのでご紹介します。
 街の中心地にあって、約1000平米の床面積がある3階建ての建物です。 築100年も経っていないようですが、非常に壁などの状態も良く、 これから使って行くには大変使い易そうな物件でした。 大抵街の中心地にある物件は、 複数の所有者が部屋をばらばらに所有していて意見の調整が難しく、 建物すべてが登記書類上の問題なく売買されるのは大変困難な中で、 この建物のオーナーの一人が6人いた所有者の意見を奇跡的にまとめて、 売りに出したのです。 この様な好条件は奇跡的な事で、 ほとんどの場合所有者との交渉で値段が上がったり交渉が決裂したりすることが多く、 建物すべてを購入できるという奇跡のような条件がそろっています。 値段も最初は65万ユーロと言っていたのですが、 最近私達の所に訪ねて来たオーナーが、 あなたなら50万ユーロでお売りしましょうと言ってくださいました。 大体日本円で5千万円程になりますでしょうか。 もちろん購入後のリフォームなどもあり、 必要は全部で7千万円程になると計算しています。
 クルージュはルーマニアでも屈指の都会で、 以前なら街の中心にある建物は2百~5百万ユーロ(2億~5億円)していました。 しかし、現在の欧州経済の危機にあって、 不動産価格も一時的に破格の底値になっています。 もちろんこの建物である必要はありませんが、 色々な導きの内に主が今はこの建物を示してくださっています。
 次世代の若者達が、そしてクルージュのクリスチャン達が、 超教派で用いる事の出来るセンターを宣教師として残したいと願うのは、 日本も同じような建物の祝福を欧米の宣教師たちに受けたからです。 どうか主の奇跡の内にこの建物が購入できるようにお祈り下さると幸いです。 街の中心部で主のご栄光があらわされ、 多くの学生たちがここから信仰を持って世界に羽ばたって行くように願ってやみません。

今回見た、良さそうな物件

■2012年11月、喫茶“さくら”2周年記念
 宣教センターを現在の場所に移転して、早い物でもう2年半が過ぎました。 色々と苦闘の連続であっという間でしたが振り返って見ると主が守って下さり、 何とかここまでやってこれたという恵みに心が一杯です。 教会では集会の時にしか友人を招待できないと言う難点を解消し、 多くの人に福音と日本文化に触れて頂こうと始めたこの喫茶店も、 最初の目的通り、 多くの学生たちがゆっくりくつろぐことの出来る開かれたスペースとして、 大変用いられています。

■2013年1月、日本への召命
 クルージュで、 日本文化を通して多くの若者がセンターに集まって来ている現状と並行して、 もう一つ素晴らしい動きを主にあって見ています。 それはルーマニアから日本への若い宣教師たちが起こされて来ているという動きです。
 今から9年前にコンスタンツァに宣教師訓練学校が開設され、 ルーマニアの教会も大宣教命令に立って歩んで行く幻を与えられ、 数人の教職者と共に着々と働きを進めて来ました。 そして、現在アフリカや中東に50人以上の宣教師を送っています。
 昨年の大震災を受け、 多くのルーマニアの教会が日本に対する祈りと宣教の必要性を再認識して、 日本への宣教の手助けをしたいと動き始めました。 その様な中で、今年の6月、 初めてブカレストの神学校と宣教師訓練学校の生徒たちによるチームが来日し、 1か月間の日本での奉仕をして下さいました。 その中の一人、訓練学校2年生のダマリス・ドブリャン姉が、 祈りの内に日本が宣教地として示された事を語って下さいました。 訓練学校は2年制で最終学年である彼女は、来年春に宣教実践を経て、 日本への準備に入ります。

■2016年9月5日の日記
 ずっと2年ぐらい、新しい宣教センターのための建物をお祈りしてきましたが、 先日友人の不動産を扱う方から見て欲しい物件があると言われて見に行きました。 幾つか見せて頂いたのですが、 その中で、以前町で一番高級なドイツ料理のお店が本屋さんになっている建物を見せて頂きました。 クルージュの町の超中心部で、統一広場まで徒歩3分の便利さ。 広さも750㎡と現在の場所の約2倍と丁度良い感じの物件でした。
 数日たって、またその友人がその物件の事で連絡して来たのですが、 物件を持っているオーナーが会いたいという事。 交渉などには早いと思いつつ、呼ばれるまま行きました。 なんとオーナーは日本でビジネスの学校を出たビジネスマンで、 この建物は日本文化のためなら売っても良いが、 それ以外は決して交渉しないという話だったのです。 現時点で、 物件は1階建ての小さな部屋に仕分けされている、使いにくい物件だと思っていると、 まだ改装していない2階屋根裏部分があると見せて下さいました。 そして、その改装工事をする為の許可書さえも、もう取ってあるという事で、 可能性が広がって来ました。 値段は少しばかり高いものの、町の中心部にして非常に価値のある物件で、 もしかしたら主が導いておられるのではと感じ始めました。 オーナーさんも今すぐにとは言わず、 私が時間が欲しいと言っていることにも聞いてくださり、 また後日話をすることになりました。
 値段も含め、色々良く計らってくれそうな気はするのですが、 もちろんタダでは購入出来る訳がありません。 もしかしたら時間的猶予を多くくれるかも知れませんが、 ともかく近いうちに何某かの決断をしなければなりません。 どうか必要が満たされる様にお祈り下さい。

■2016年末の日記
 2010年秋には場所を広い所に移して喫茶店さくらを始めましたが、 色々な苦労があったけれど、6年以上続けることが出来たのは、 ただただ主の助けのみと言えます。 そこまでしても喫茶店という設定にこだわるのは、 多くの若者たちが気楽に入って来られる場所が必要であると導かれたからです。 日本文化のイベントも手伝って、6年間で多くの若者たちが導かれ、 土曜日の深夜の集会でも救われる若者たちが50人以上与えられました。 俳句の世界コンテスト入賞者も出したり、けん玉を流行らせたり、 社会や教育にも貢献して、今や私たち以外にも2軒の福音系喫茶が店を出しました。
 まだ教会の欠けを充分に補っていないと感じつつ、学生伝道の可能性は大きく、 喫茶店は大変効率の良い場所だと確信を持って、上記の新しい建物の件も含め、 今新しい段階に主が導いてくださることを真剣に祈っています。

■日本友の会の幅広い活動
  日本友の会では、お茶道、着物、折り紙教室だけでなく、 俳句、書道、空手、日本昔話、けん玉、ちりめん細工、骨董品、 日本語教室、うどん作り、囲碁・将棋、アニメ、コスプレ、 など、紹介する日本文化も充実し、毎回たくさんの若者たちが 宣教センターに集まってきています。 主がさらにこの場所を用い、そして御心なら、さらに大きい場所へと 導いてくださることをお祈りしています。

■宣教センターの将来の展望
 2023年現在、宣教センターでは、喫茶店SAKURA、 日本友の会のイベント、 日本文化の紹介、コンサートなどの福音集会、 礼拝、信徒育成、宣教セミナーなど、さまざまな宣教的活動が行われています。
 多くのルーマニア人たちがスペインやイタリアなど、 他のヨーロッパ諸国に働きに出ていきます。 クリスチャンたちも例外ではないのですが、 ルーマニア人クリスチャンたちが、その行く先々で主を求め、礼拝に集っています。 どの国に行ってもルーマニア人教会があります。 また、ヨーロッパの教会では現地の信徒たちが礼拝に集まらない反面、 働きに来ているルーマニア人たちが大勢礼拝に集い、もりあげていたりします。 このように、ルーマニア人たちが、宣教に用いられている姿を見ると、 ルーマニアの若者たちを訓練して世界宣教に送り出すこと、 とくに、日本に送り出して行けたらと願ってやみません。

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■事務局より
 センターの家賃は、毎月2000ユーロ(2023年現在約30万円)で、 このほかにも水道光熱費もありますから、かなり大きな出費があります。 今後も皆様の祈りとささげもののご支援をどうぞよろしくお願い致します。
 宣教センターの必要を支える為に月定献金して下さる教会・個人が多く与えられる様に 続けて祈っています。 安定した宣教活動の為に月々必要(40万円)が満たされる様に続けてお祈り下さい。